院生からの声!

岡本 弥生
「高校の養護教諭になって予防教育(保健教育)がしたい。」医療機関で働いていた頃、多くの患者さんや検診者さんと接する中で芽生えた思いは、新採用養護教諭として着任した高校で1年目から実践することが出来た。しかし、「私が大切で必要だと考えている健康問題を生徒たちも同様に捉えているわけではない。ただ伝えるだけでは届かない。」という思いが実践を続ける中で高まっていた。
様々な人との出会いを経て、着任してから3年目以降は、現指導教員でもある横浜国立大学教授と横浜国立大学の大学院生、学部生に協力・参加してもらい、保健教育の授業デザインの改善とその実践を行ってきた。そのような中で、自らの実践がどのような効果を持っているのか、はたまた持っていないのかを実践研究という形で世に問い、科学的に教育効果のある授業デザインを模索していきたいと感じ始めていた。現職という経験を持って、大学院で学び直してもいいのではないかと考えていた時、大学院研修派遣制度があることを知った。現指導教員や勤務高校管理職にご指導いただけたこともあり、養護教諭6年目からは大学院研修派遣者(大学院生)としてのスタートを切ることが出来た。
 大学院では、今求められている学力とそのための授業や評価の方法についての様々な視点からの考察、教育理論を自らの実践に照らし合わせるための学び、動機づけの考え方、研究論文を書くにあたっての研究方法と執筆作法、研究プレゼンの方法とその実践、複数の学校現場への見学、同種・異種職の人々との交流など、養護教諭として働いている時とは全く違う学びの機会を得ている。そして、大学院で学ぶ時間は、養護教諭という職務全体とその役割の意義と重要性を改めて俯瞰する貴重な時間にもなっている。
 現在、修士論文執筆に向け、自らの実践を分析、検討している途中であるが、「生徒に対するよりよい教育活動に寄与するため」、「養護教諭が実践する価値を見出すため」にと始めた研究は、同時に私自身の学びの機会となり、自らを成長させ、更なる実践力・指導力の獲得に繋がる可能性となっているのだと気が付き出した今日この頃である。
小笠原 由紀
幼少時代からの夢である「小学校教諭」になるべく本学の学部、大学院に入学し、学部時代から、教育実習や学習ボランティアを経験していたが、「教育インターン」は私にとって理論と実践をつなげる役割を担った現場経験であった。
私は、小学校家庭科における新しい評価方法の検討を目的として、神奈川県下公立小学校にてフィールドワーク調査を開始した。参与観察のみならず、教員免許を有していることから、授業の意図を理解した学習支援者としても児童や先生方と関わらせていただいた。しかし、教育実習や学習ボランティアと違う点は、「自分の研究視点」をもって現場に身を置くということである。そのため、研究視点をもって入らなければ、見落としてしまうであろう、児童の率直な気持ちや言葉にもアンテナを張ることができた。休み時間のふとした瞬間に発せられた「『授業』だから頑張る」という言葉には、正直、衝撃を受けたが、これが当時、その児童が抱いた率直な気持ちであり、これからの授業のあり方や、評価活動への新しい示唆を与えてくれた言葉でもある。
また、特定のクラスの学級担任の先生や児童の「日常」に密着することで、研究室にいて先行研究を読むだけでは得られなかった、「現場」の先生方が常日頃からもつ悩みや課題にも直接、触れることができた。
カリキュラム上で定められた期間は終了したが、私は現在も小学校でのフィールドワークを継続させていただいている。そして、大学院では指導教員の先生方の指導を受けながら、現場で見えた課題を解決する方法を検討し、小学校における実現可能な授業実践・改善を行っている。
これまで、「小学校の先生になるのに、大学院が必要なの?」とたくさんの人に言われてきた。しかし、この経験は、私にとって「研究者」としてだけではなく、「実践者」としても意義深いものであり、「教師」としての学びを深めるためには魅力的なカリキュラムであると実感している。いつか、夢の小学校教諭として現場に出てからも、研究と実践を繰り返す姿勢を忘れず、目の前にいる子どもにとって「最善の方法」を一緒に見つけることのできる教師になりたいと思う。

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