カリキュラム

研究科共通科目のコア科目「教育デザイン」、実践活動中心の「教育インターン」に加えて、学術研究中心の「教育科学科目群」「教育開発科目群」「教科内容科目群」、「特別支援教育に関する科目」もしくは「臨床心理学に関する科目」といった選択必修科目を、教員の支援を受けつつ、学生自身のデザインに即して履修し、最終的に修士論文へと結実させる。学校教育の課題のみならず、広く保護者や地域をも視野に入れた研究課題に取り組み、これらの成果は学内で開かれる教育デザインフォーラムなどでの報告や、学会発表・学術論文として公表するなど、広く社会的な検証を受けることとする。

コア科目「教育デザイン」

本研究科の共通コア科目「教育デザイン」は、研究科所属の教員全員が担当する科目であるが、実際には、各学生のコア科目担当教員が他の教員と自由に連携協力して指導するゼミ形式あるいはワークショップ形式の授業形態をとる。各教員が、「研究計画書」及び入学後の面接をもとに、学生の取り組みが、単なる机上の学問に陥って学校現場から乖離することなく、あるいは安易な現場主義にとどまることなく、現代社会を見据え、近未来社会の諸問題と深く関わった「教育デザイン」を実現するよう指導する。教員自身もまた、自らの教育・研究内容を学校教育の課題と照合し、自らの学問を新たな「学」へと練り上げていく。
学生は、教員と協働し、授業や学級・学校、地域連携といった教育のプランとプロセスを設計していく。アウトプットを明確にするために、各自の研究目的と方法、専門分野に応じて、学生は自分の「教育デザイン」の担当教員の指導を受けつつ研究を進め、また、具体的な検証のための教育インターンをいかなる目的と方法意識でいかなる時期に行うかを決定する。

必修科目「教育インターン」

コア科目等の学習を教育現場で検証し、検証によってさらなる研究の深化を図るために、コア科目と連動させた「教育インターン」を配置する。
「教育インターン」は、学生が自らの目的と解決すべき課題を持って現場に赴き、大学教員の指導を受けつつ、その課題に取り組むための科目である。附属学校をはじめとする学校現場における「教育インターン」の他にも、教育関連機関・施設、学生自らの実践の現場などで検証を行うことも可能である。
「教育インターン」は1日の活動を6回行うことが基本になる。これをもとに、学生個々人の研究に応じた履修内容と、学生個々人の経験に応じた履修頻度を選択可能なものとする。
「教育インターン」の期間は、①(長期型:週1日6週間)・②(中期型:週2日3週間)・③(短期型:週3日2週間)・④(フレックス型:目的及びフィールドの特性に合わせた設定)の4タイプをモデルとする。インターン(実習・調査)を深めたい学生は、4タイプのうちから、同タイプまたは別タイプの「教育インターン」を複数回履修することもできる。
特別支援教育・臨床心理学コースにおいても、コア科目「教育デザイン」の学習を教育現場及び相談機関で検証し、さらなる研究・実践の深化をはかるために、「教育インターン」を配置する。

選択科目

教育デザインコースの選択科目

専修免許状取得のための教科または教職に関する科目であると同時に、学生が個々の教育デザインに取り組む基盤となる知識や研究方法を習得するための、基礎学としての役割を果たしている。
教育科学科目群・教育開発科目群・教科内容科目群の枠からの選択必修とする。専門領域(教育学・心理学及び各教科教育学)内での体系的な学習の他に、自らの教育デザインに基づき、専門領域を横断して科目を履修することで、教育の基盤に常に立ち返るとともに、新しい視点と知識を習得して、より自由な立場と発想から、自らの教育をもデザインする力を練り上げていく。教育科学・教科教育学・教科内容学は多岐にわたるが、以下、本教育学研究科で強調する方向性をあげてみる。それぞれの科目群が一定の特徴をもつことで、単なる融合ではない、協働関係が生み出される。

  1. 教育科学科目群
    専修免許状の「教職に関する科目」に対応する主として教育科学に関する科目群である。教育の諸科学に関する文献や情報を読解し分析する力を養うことで、研究や実践の諸課題を見出すにとどまらず、教育と人間の根幹に立ち戻って、学校や子どもの発達を、地域、社会、文化の広がりの中で構造的にみる力を養う。
  2. 教育開発科目群
    専修免許状の教科に対応する主として教科教育学の科目群である。この科目群は、新たな教育実践の開発・創出に向けて、各教科の授業実践力やその省察力の育成を目的とした「教科教授法講義・演習」と、授業の構想・構築力の育成を目的とした「教科カリキュラム論講義・演習」などによって構成される。この科目群の授業は、生きた実践に足場を置くかたちで、すなわちコア科目や教育インターン科目との連携を目指しながら展開される。
  3. 教科内容科目群
    専修免許状の教科に対応する主として教科内容学の科目群である。それぞれの教科内容に関する教材と関連テキストをめぐる読解力・分析力・情報収集能力を身につけることを目的とする。同時に、先行研究の体系的な収集と通覧を通じて、教育現場に即応した課題発見の手助けとなるような情報を獲得する。先人の優れた業績を学び、吸収しつつ、批判的能力を磨き、教科内容に関する本質を見抜いて、自分自身の考え方を打ち立てることが出来るよう、訓練する場でもある。

修士論文

1年次に取り組んだコア科目における研究テーマを、2年次においてより高度化、深化、発展させる形で、各自「課題研究」に取り組み、修士論文の研究を完成させる。研究の成果については公表をするものとし、修了にあたっては、修士論文の研究に関して審査を受け、最終試験に合格することを要件とする。
教育デザインコースにおいては、修士論文は、学校教育との関連をもった教育科学、教科教育学、教科内容学のいずれかを軸とした研究とする。特別支援教育・臨床心理学コースにおいては、特別支援教育または、臨床心理学にかかわる研究とする。


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