教育学研究科教育実践専攻の設置目的
教育学研究科教育実践専攻の目的
横浜国立大学大学院教育学研究科は、これまで幾度かの改革を重ねて様々な社会の要請に応えつつ、教育の現在的諸課題に取り組んできている。しかし、社会環境の急速な変化に伴い、学校教育をめぐる諸問題が複雑・深刻化するなか、より高度で実践的な能力を備えた教員・研究者・専門家の養成が望まれている。これに応えるべく、平成23年度より教育学研究科を改組し、教育実践専攻を設置した。
本研究科が専攻名に掲げた「実践」とは、現時点での有効性にとらわれがちな旧来の狭義のそれではない。「種々の複雑な問題・課題を抱えた状況に対し、理論的かつ実際的に関わって状況そのものを変革するとともに、自らも変わろうとする柔軟で創造的な営み」を目指すものである。
たとえば学校現場における実践性とは、①子どもとのコミュニケーション能力、人格形成や生活指導・生徒指導に関わる面 ②教科内容を教える方法や、教科内容の深い理解といった授業・学習指導と学力形成に関わる面があげられる。
また「学」としての実践性は、教育科学、教科教育学、教科内容学のいずれもが、人間と社会の再生産、及びその公教育における現実化、例えば教育理念としての「生きる力」のような共通の基盤の上に立って、力動的な知として活性化されることが課題となっている。本研究科のカリキュラムの中核にコア科目「教育デザイン」と必修科目「教育インターン」を配置した理由はここにある。両科目が連動することにより学生は、自分自身の研究との関係から学校現場等に関する実践的な認識を獲得し、有用な提言のできる能力を身につけることが可能になるであろう。
「教育デザイン」とは実践性を重視し、教育研究の様々なジャンルを活用しつつ、教育現場や社会の現実に対応して変革を提案しうる実践力・創造力を養い、新しい教育のあり方や方法を研究開発していくことであり、その成果が現在、さらには近未来に目を向けて提言し、実証されることを意味している。
教科別・ジャンル別の固定的な教育・研究の枠にとどまらず、現代社会に即応できる、あるいは近未来を見据えた、新しいスタイルや内容による「教育デザイン」を実現していくことが、本教育学研究科教育実践専攻の目的である。